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2014年12月02日

【沖縄】詳細な調査と熱い思いが結実した“まぼろしの”沖縄映画館ガイド

かつて沖縄にあった数々の映画館を紹介する書籍「沖縄まぼろし映画館」(ボーダーインク刊)が発売された。

同書は、沖縄で映画フリークが集まり、映画製作、上映会、紹介、評論など映画に関するさまざまな活動を展開するNPO法人「シネマラボ 突貫小僧」代表の平良竜次氏、サポートメンバーの當間早志氏による共著。

沖縄は1959年、専門館だけで92館、1960年には120館に達するほど“映画天国”だった。「沖縄まぼろし映画館」では、その中から沖縄本島に存在する&存在した50館をピックアップ。沖縄映画界の歴史を紹介する「通史」にはじまり、実際の映画館を紹介する「那覇・南部篇」「中部篇」「北部篇」と、沖縄県内で映画界発展に貢献した人を紹介する「映画人烈伝」と題したコラム4本で構成される。

一読して驚くのは、その調査のきめ細かさ。映画館のあった場所だけでなく、手掛かりを少しでも得るべく、当時の新聞の映画紹介欄、郷土史、字誌、写真集、周辺住民の聞き込みを重ねて、1つひとつの映画館を紹介している点。単純な紹介文ではなく、著者の思い出や訪れた際の感情とともに綴られているので、映画や映画館に対する愛情が感じられて、当時の姿を知らない人にも親近感が涌いてくる。

那覇市・国際通りに繋がり、“沖映通り”の名称の由来にもなった「沖映本館」の紹介では、「かつて映画館があったことを知ってほしい」という思いで彼らが開催した2013年のイベント「シネマトリップ沖映通り」を記している。映画に対する思いが実際のイベントとしてリアルな行動になっている点は彼らの真骨頂で、現代の読者をグッと引き付ける。

また、所々に当時の写真が配されているが、多くは著者の“大先輩”に当たる山里将人氏によるもの。山里氏は戦前から映画を見続け、沖縄映画の興行を記録していた。膨大な資料と写真を“次世代の伝道者”である平良氏と當間氏に引き継ぎ、2人が同書を脱稿する2カ月前に急逝されたという。

本人の遺志で死を誰にも知らせなかったため、2人のもとにもその情報が入ってくることはなかった。同書は、まさしくその山里氏の長年の“思い”を2人の若手が“形”にしたようで、勝手にドラマ性を感じてしまう。

最後の簡易年表を見ると、開館ラッシュに涌いた沖縄の映画館だが、1963~1964年を境に「閉館」の文字が続く。映画界の衰退を見せられるようで悲しい気持ちになるが、各ページには地図も掲載されているので、本書を片手に、大衆娯楽文化を支えた映画館の歴史を“町歩き”という形で体現してみると、少しだけその悲しみが薄れるかもしれない。

「沖縄まぼろし映画館」
発売中 1944円(税込) ボーダーインク刊

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